医学研究でよく使う「リスク比」「ハザード比」「オッズ比」って何?Rでの使い方も解説!

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こんにちは。ほしのはやしです。

今回は、医学研究や臨床試験でよく出てくる3つの比率、

リスク比(Risk Ratio: RR)
ハザード比(Hazard Ratio: HR)
オッズ比(Odds Ratio: OR)

について、初心者でもわかりやすいように解説し、簡単なRでの使い方も紹介します!

目次

✅リスク比(RR: Risk Ratio)とは?

簡単に言うと…

「ある出来事がどれくらい起きやすいか?」を2つのグループで比べる指標です。

主にコホート研究で用いられます!!

研究例:ワクチンの効果を評価した研究

  • A群(ワクチンあり):100人中 5人が感染
  • B群(ワクチンなし):100人中 20人が感染

リスク比 = 5 / 20 = 0.25

ワクチン接種によって、感染のリスクは 75%減少!と解釈します!!

Rでリスク比を計算する

必須パッケージ『epiR』を用いて2×2の表を解析してみます!

install.packages("epiR")
library(epiR)

# 2×2の表曝露発症
tab <- matrix(c(5, 95, 20, 80), nrow = 2, byrow = TRUE)

# リスク比の計算
epi.2by2(tab, method = "cohort.count", conf.level = 0.95)

結果の『Inc risk ratio』がリスク比の数値となります!

2×2表を作成する際は、以下のように配置するのが基本です

行方向(縦)
 - 行1:介入あり(たとえばワクチン接種あり)
 - 行2:介入なし(たとえばワクチン接種なし)

列方向(横)
 - 列1:標的となる結果(たとえば「感染あり」など)
 - 列2:標的以外の結果(たとえば「感染なし」など)

✅オッズ比(OR: Odds Ratio)とは?

ある出来事の起こる「オッズ」を2群で比べたものです。
リスク比と似ていますが、症例対照研究などでよく使われます。

なぜオッズ比が使われるのか?

症例対照研究(case-control study)では、「リスク(発症率)」が直接わからないため、代わりにオッズ比を使う必要があります。

さらに、病気が 非常に稀(発症率が 1%以下など)のとき、リスク比とオッズ比がほとんど同じ値なるため、特にオッズ比がリスク比と同等と考えることができます!

RR≒ORとなる例として、以下の表を考えると…

発症あり発症なし合計
曝露あり199100
曝露なし0.199.9100

リスク比 = (1/100) / (0.1/100) = 10
オッズ比 = (1/99) / (0.1/99.9) ≒ 10.1

このように、稀な発生率における症例対照研究で特に効果的に使えます!!

研究例:喫煙における肺癌の発生率

  • 喫煙者で肺がん:90人
  • 喫煙者で非肺がん:110人
  • 非喫煙者で肺がん:30人
  • 非喫煙者で非肺がん:270人

→ 喫煙者のオッズ = 90 / 110 = 0.818
→ 非喫煙者のオッズ = 30 / 270 = 0.111

オッズ比 = 0.818 / 0.111 ≈ 7.36

オッズ比が1より大 → 喫煙者は肺がんのリスクが高い

Rでオッズ比を計算する

先ほどと同様にepiRを使って計算しましょう!

library(epiR)

# 2×2喫煙の有無肺がんの有無
tab2 <- matrix(c(90, 110, 30, 270), nrow = 2, byrow = TRUE)

# オッズ比の計算
epi.2by2(tab2, method = "cohort.count", conf.level = 0.95)

結果の『Inc odds ratio』がオッズ比の数値となります!

✅ハザード比(HR: Hazard Ratio)とは?

「生存時間」や「時間経過とともに起こるイベントの頻度(ハザード)」を比較するものです。

すなわち生存分析で使います。

例:新薬での死亡率調査

新薬群と従来薬群での「死亡までの時間」を比較。
ハザード比 = 新薬群の死亡率 / 従来薬群の死亡率。

HRが1より小さい → 新薬で死亡の危険が低下
HRが1より大きい → 新薬で死亡の危険が上昇

Rでハザード比を求める

library(tidyverse)

# 仮のデータ作成
# time: 生存時間、status: イベントの有無1=死亡, 0=生存)、group: 1=新薬, 0=従来薬
data <- data.frame(
  time = c(5, 10, 12, 8, 7, 15, 20, 6, 9, 14),
  status = c(1, 1, 0, 1, 0, 1, 1, 0, 1, 0),
  group = c(1, 1, 1, 1, 1, 0, 0, 0, 0, 0)
)

# Cox比例ハザードモデル
cox <- coxph(Surv(time, status) ~ group, data = data)
summary(cox)

結果の『exp(coef)』がハザード比の数値となります!

星柴くん

RR、OR、HRについてわかったのだ!

黒星柴くん

似てるからほんまややこいよな

まとめ

リスク比、オッズ比、ハザード比について簡単にご紹介しました!

まとめると以下の表になります!

指標比較するものよく使われる研究デザイン
リスク比(RR)リスク(確率)コホート研究
オッズ比(OR)オッズ症例対照研究
ハザード比(HR)時間あたりのリスク生存分析・時間依存イベント

皆様のお役に立てたなら幸いです。

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この記事を書いた人

柴犬をこよなく愛する読書家。
街歩きとお菓子作りを趣味にしています。
研究や論文に役立つ情報をわかりやすくお伝えします。

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